(1)日本ではよく、「若者はもっと個性を発揮すべきだ」とか、「個性を磨くべきだ」などと言われます。けれど私は、そういう言葉にはあまり意味がないと思っています。また、日本では「個性」という言葉が主に人の外観に関して使われることにも、私は違和感(注1)を持っています。たとえば、「個性的なファッション、個性的なヘアスタイル」は、「人がアッと驚くような奇(き)抜(ばつ)(注2)なスタイル」であることが多いでしょう。(中略)このように考えると、「個性=人より目立つこと」と、多くの人が錯覚(注3)しているのではないかと思います。でも、根本的なことを言ってしまえば、この世に生まれた人間は一人残らず全員、それぞれの個性を持っています。だから、誰かに「磨きなさい」と命令されて、義務のように磨く必要などないのです。あなたが生まれ持った個性は、明らかにあなただけのものです。世界中に、あなたと同じ個性を持つ人など誰一人としていないのですから、「他の人はどうかな?」とキョロキョロすることは不必要だし、他人の真似をする必要もありません。真似しようとしても真似できないのが、個性というものなのです。あなた自身が「楽しい、面白い、不思議だ、ワクワクする、ドキドキする」と感じ、心から求めているものを優先すれば、それでいいのです。「磨く」とか「発揮する」などと意識しなくても、自分が本当に好きなもの、興味があることに気持ちが向かっていけば、自分の世界がどんどん広がっていく。それが本当の意味で「個性を磨く」ということです。(今北純一『自分力を高める』による)(注1)違和感:ここでは、なにか違うという感じ(注2)奇抜な:珍しくて目立っている(注3)錯覚する:勘違いする62筆者によると、本当の意味で「個性を磨く」とはどのようなことか。
A.自分の心に従って、関心があることを追い求めること
B.自分が好きかどうかより、個性的に見られるかどうかを優先すること
C.周囲の意見を参考に、無理なく自分の世界を広げること
D.どんな物事にも、楽しさや面白さを見つける努力をすること
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